ビットコイン、年末に向けた値動きは?

ビットコイン、年末に向けた値動きは?

クリスマスが近づき、多くの人が「ウィンドー・ドレッシング」を見込んでいる。

店舗がクリスマスセールに備えて、飾り付けやライトアップを行う話ではない。2021年に投資を成功させたように見せるために、ポートフォリオマネジャーたちが実績を繕って見せる話だ。

ここ数週間で、暗号資産(仮想通貨)市場にもそのような事態が起こるのだろうか?過去の投資信託の動きが参考になるとしたら、ポートフォリオマネージャーによるウィンドー・ドレッシングが、暗号資産価格変動の原動力とはならないにしても、彼らが年末までにすること、あるいはしないことによって、ポートフォリオ内の資産価格が吊り上がる可能性があるのは確かだ。

この話題に馴染みのない人のために説明すると、ウィンドー・ドレッシングとは、ポートフォリオマネージャーが自分は正しい投資を行なってきたと見せるために、年末の報告前に損失を出しているポジションを売却し、利益の出ているポジションをさらに買い増すというものだ。影響はさまざまに及ぶが、とりわけすでに損失の出ている証券をさらに苦境に追いやり、利益の出ているものの価格をさらに吊り上げることになり得る。

実際にそのような結果につながることを示唆する多くの研究が行われているが、多くの場合、結論を出すのには四半期末のデータが使われている。

しかし、2014年に金融経済学ジャーナル『Review of Financial Studies』に発表されたある研究では、1999年から2010年の投資信託の証券取引の実際のデータが利用されている。

典型的な「ウィンドー・ドレッシング」の証拠は見つからなかったが、著者のガン・フー(Gang Hu)氏、R.デイビッド・マクリーン(R. David McLean)氏、ジェフリー・ポンティフ(Jeffrey Pontiff)氏、チンハイ・ワン(Qinghai Wang)氏は、より繊細な何かを発見した。

「異常に高い機関投資家による買いと、異常に低い機関投資家による売りが、価格のインフレと関連していることを突き止めた」と、著者らは主張し、次のように説明した。

「四半期末、とりわけ年末の頃に、買い取引の割合が急速に増加することが分かった。さらなる分析によって、機関投資家による買いは年末に減少するのに対して、機関投資家による売りは年末にはさらに大幅に減少し、それが買いの割合の高さを生み出すことが判明した」

つまり、投資信託は年末にかけてより大きな株式ポジションの買いを増やすが、さらなる速度で売りを止めるのだ。それが、それら資産の高価格に貢献していた。

著者らは、それには理由があるかもしれないとして、次のように主張する。

「年末の売りに関して、ターゲット取引の証拠は見つからなかった。つまり、売りの減少は、機関投資家が多くのポジションを保有する株式においてより大きい訳ではなかった。しかし、株式を買うことと異なり、株式の売却を遅らせることには大抵の場合、コストがかからない。そのため、ポートフォリオマネージャーが年末時の純資産価値を気にしている場合には、年末に株式を売却しないことは理にかなっているのだ」

利益確定?

それでも、あるアナリストが正しければ、機関投資家主導の売却は暗号資産の場合には起こり得る。

通貨取引プラットフォーム、オアンダ(Oanda)のアナリスト、エドワード・モヤ(Edward Moya)氏は、ファンドマネージャーたちが今年の利益を確定させるために、成功している資産を売り払うと見込んでいる。

彼の考えでは、予想よりも高かったアメリカでのインフレ率をきっかけとした最近の値上がりによって、保有するビットコインの売却がより魅力的なものとなっている。

「インフレ懸念が高まるにつれて、ビットコインにとってはマイナス材料となるだろう。年末に近づき、ウォール街のマネージャーたちは皆、暗号資産取引で利益を出せることを示したいからだ」と、モヤ氏は話す。

「ビットコイン(BTC)が120%以上、イーサ(ETH)が550%以上値上がりしたことを考えれば、ある程度の利益確定が見られるだろう。短期的には、そこが大きなリスクになると考えている」(モヤ氏)

インフレ懸念のためにビットコインが値上がりするという一般的なナラティブとは反対に、モヤ氏は、少なくとも12月31日までは、インフレ懸念がビットコインに向かい風となると予測しているのだ。

インフレ率が現在と同じ、あるいはさらに速いペースで上がり続ければ、「ある程度のパニック売りも見られるだろう」とモヤ氏。「一般的には、ウォール街で大きなリスク・リバーサルがある場合には、ビットコインは最も利益の出る資産の1つであることから、弱さを見せることになるだろう」

「つまりこの先数カ月のどこかの時点で、おそらく10%、ひょっとしたら20%の引き戻しがある。しかし究極的には、長期的な強気トレンドが再び幅をきかせてくると考えている」

データから見えてくるもの

注目すべきは、一部取引所における平均取引規模である。不完全な指標ではあるが、いくつかの推測を行うことができる。値下がりに伴って平均取引規模が大きくなっていれば、機関投資家などの大口投資家が売却を行なっているサインかもしれない。逆に値上がりの中で平均取引規模が大きくなっていれば、より大きな買いを示唆している可能性がある。

先週史上最高値を更新して以来、ビットコインは6%弱値上がりしたが、ここ30日間では約13%値上がりしている。

データ提供を手がけるカイコ(Kaiko)によれば、平均取引規模はおおむね上昇傾向にある。カイコでは2017年以来の、機関投資家に特に人気のあるコインベース、ビットスタンプ、クラーケン、ビットフィネックス、ジェミニ、ビットトレックス、イットビット、LMAXデジタル(こちらは年初以来のデータ)の8つの取引所における1日の取引規模の平均を分析した。

下のグラフが示す通り、平均取引規模は、2021年の春のピーク時より下がっている。

平均取引規模(7日移動平均)
出典:Kaiko

結論としては、平均取引規模が価格とともに上昇を続ければ、機関投資家が年末ギリギリまでポジションを追加していることを示唆するかもしれない。

アルトコインを売却してビットコインを購入?

もちろん、ビットコインだけが暗号資産ではない。いわゆるアルトコインと呼ばれるビットコイン以外の暗号資産で好成績を収めたマネージャーたちは、それらを売ってビットコインに投資するかもしれないと、取引企業GSRの共同創業者兼社長リッチ・ローゼンブラム(Rich Rosenblum)氏は考えている。

ここ数週間で立ち上げられた新しいビットコイン先物ETF(上場投資信託)など、投資信託の動きよりも大きな影響を与える他の要素が多くあると、ローセンブラム氏は指摘する。

「人々は、(アルト)トークンで利益確定し、それをビットコイン投資へと回している。ビットコインのリスクが低下したためだ」と、ローセンブラム氏は語り、次のように続けた。

「ステーブルコインではないが、ビットコインが再び5万ドルを下回ることになると考える人がいるという話は滅多に聞かない。(中略)暗号資産の他の分野である程度のリターンを得たならば、ステーブルコインや現金にする代わりに、ビットコインで資産を保有しておこうと考えるかもしれない。だから、ここひと月で、ビットコインに多くの勢いが見られたのだ。トークンに投資することの大いなる強みのおかげだ」

今年も残りわずか7週間。ホドラー(値動きに関わらず保有し続ける人たち)か、それとも利益確定者か、どちらが勝利を収めるかについて、意見の一致は見られないようだ。

この先数週間、手掛かりを求めてビットコインの平均取引規模とアルトコインの動きを注視することには、少なくとも価値があるだろう。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock.com
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